研修医と理学博士の在宅医療-雑談-

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在宅医療をめぐる日本の情勢と現在(地域性)

みなさん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

前回は、在宅医療をめぐる日本の情勢について書きましたが、今回は日本の都道府県レベルにおける情勢についてご紹介したいと思います。

 

都道府県レベルの統計の結果で見ると、同じ日本でも地域によって在宅医療の情勢がかなり異なることがうかがえます。

 

本日は、在宅医療を含めた日本の医療や福祉の地域性について、主に統計情報をもとに幅広く描かれた書籍の内容をもとに記事を書きます。

 

書籍はこちら →宮澤 仁(2017)『地図でみる日本の健康・医療・福祉』. 明石書店.

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まず、訪問診療実施病院と一般診療所からの距離(最寄りの在宅医療を受けられる医療機関)を見ると下記の図(A)の通りです。

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        出典:宮澤 仁(2017)『地図でみる日本の健康・医療・福祉』. 明石書店.

 

図A(↑)をみると、東日本の山間部や北海道で自宅から16km圏内では、該当する医療機関がないことがわかります。とくに、北海道の道東、道北地区や東北、および近畿南部、四国、九州地方の山間部では「医療空白地帯」が顕著となっているようです。

 

 

次いで、図Bは、日本の自治体で、居住地から10km以内にどのくらい訪問診療実施病院や一般診療所数があるかを地図化しています。

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                               出典:宮澤 仁(2017)『地図でみる日本の健康・医療・福祉』. 明石書店.

 

日本では、自動車でも在宅医療を受けられる距離は、片道10kmほどが一般的と言われています。そうすると、上の図Bの空白地帯が多く存在するため、日常的に充分な在宅医療を受けるのが困難な地域は非都市圏に多数あることが想像できます。

 

図Aで、病院・診療所からの距離が16km以上の場所がありますが、厚労省では次にような、「16kmルール」が定められています。

 

それは、

保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が 16 キロメートルを超える往診に ついては、当該保険医療機関からの往診を必要とする絶対的な理由がある場合に認められ るものであって、......この絶対的に必要であるという根拠がなく、特に患家の希望により 16 キロメートルを超える往診をした場合の往診料は保険診療としては算定が認められない ことから、患者負担とする。 (出典:厚労省HP)

                                   であります。

 

図Aで、「紫色」の地域は画像では見づらいですが、東北の太平洋側や道東、道北地方で存在しています。例えば、東北地方の太平洋側では、東日本大震災後にできた在宅医療の空白地帯があると考えられます。

この解決策には、①新たな医療機関ができる、②既存の16kmrルールの改定、③遠隔医療(距離的制約の克服)のいずれかが求められるようです。

 

日本は世界的にみて、人口密度の高い国です。日本より最寄りの医療機関までの距離が長い国や地域でどのようにして、医療体制が敷かれているのかは、今後のブログで紹介させていただきたいと思います。

本日のブログは以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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